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住宅はそうはいかない

2011.11.18

畳の上には緋毛脛を敷いてジュータン敷きに見せかけ、テーブルはどう手配したか知らないがとにかく置き、イスはお寺にあった中国式で間に合わせる。そして、欧米人は靴のまま上がり、日本側は偉い人は草履で上がり、偉くない人は裸足で上が幕末の第二ラウンドの次は、明治の文明開化の第二ラウンド。今度は、日本対欧米ではなくて、日本人の中での、畳の生活と洋風の土足生活の勢力争い。役所、会社といった公的、社会的な場での決着はすぐにつき、板の床に土足にイス、テーブルが定番として確立する。

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完全欧米化。しかし、住宅はそうはいかない。いろんなタイプが現れる。まずトップの明治天皇御一家はどうか。幕末の対外交渉時の将軍家に倣い、畳の上にジュータンを敷いてのイス、テーブル、ベッド、土足、の生活が始まる。旧江戸城に入ったから一時的にそうしたわけじゃなくて、明治二十一年に宮殿(明治宮殿)を建てたときも、新築なのにわざわざ畳を敷いてその上にジュータンをかぶせている。わざわざそんな複雑なことをしたのは、畳にジュータンを敷いた時のクッション性のある足触りがまことによろしかったからとも考えられるが、理由は定かでない。以来、天皇は畳に座ったり、布団に寝たりはしなくなる。戦後の国体の時などで昭和天皇が各地に行くとき、由緒ある和風旅館のすばらしい座敷にジュータンとベッドを持ち込み、土足で上がって周囲を驚かせているが、御本人にとっては珍しいことでも何でもなくて、おじいちゃん以来、東京の家ではそうしているだけのこと。





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