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バリアフリーの実地教育の必要性

2011.10.07

単純化していえば、スキーで骨折して松葉杖をついている若い人、大きな旅行カバンを両手で引いている人などは、跳ぶように歩いている通勤一通学の人にくらべれば明らかにハンディを負っている。ことによるとあなたはそんな人を、「こんなところに来るな、じゃまだ」と内心ののしったことがあるのではなかろうか。しかし、それは明日のあなたの姿かも知れないということを考えたことがあるだろうか。もしそうなれば、あなたはバリアフリーの重要さを身をもって知ることになり、ものごとをあだおろそかにしなくなるだろう。その意味で、できるだけ多くの人がこのような体験をすることが望ましいということもできる。現在は、障害の状態をある程度再現できる装具がつくられているので、それをつければ疑似体験は可能であり、実際に骨を折るまで待つ必要はないし、骨折以外にもさまざまな障害の状況が身をもって体験できる。男性にとってはなかなか想像しにくい出産直前の女性の苦労も体験できる。少なくとも、政策形成過程にかかわる国会議員や地方議会議員、国・自治体の職員などには、これらの装具をつけさせて必ず実体験させるべきではなかろうか。なお、一九九五年の春から、建設省は新規採用者に対して初任研修でこうした体験をさせることにした。これは一歩前進だが、ほんとうは予算配分権を握っている大蔵省職員も含めて公務員全員が体験すべきだろう。また、建築設計は芸術だと思っている設計者は、多くの場合利用者の視点を欠いているが、これは教育課程の問題でもある。これをただすため、現在はほとんど皆無といっていい設計者に対するバリアフリーの実地教育も、同様に導入すべきであろう。それによって初めて、親身になった設計ができようというものである。

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